当社は、受託加工サービスにとどまらず、材料選定や設計を手がける「受託開発サービス」を展開しています。今回は、お客様が直面していた性能・コスト・製造プロセスの課題に対し、技術的アプローチとプロセス最適化によって解決した 事例をご紹介します。
お客様が直面していたブロッキングの壁
ウェブハンドリングにおける「ブロッキング」とは、主にフィルムや紙などの巻取りロールが密着・固着し、引き剥がせなくなる現象のことです。
この解決方法を模索されていたお客様より、巻取手前で合紙(あいし)を挿入し、巻き取ってほしいとご相談をいただきました。詳しく伺うと、「様々なフィルムセパレーターを試しても解決せず、紙素材を挟んだ時だけコーティング層とのブロッキングを防げたため、紙の採用を検討している」という状況が判明しました。
「なぜ紙なら防げたのか?」仮説から生まれた「裏面マット加工」
フィルムセパレーターではブロッキングが解消できず、紙で解消できたという情報から、コーティング層は高い自着性を有する素材という仮説を立てました。
ポリウレタンやシリコーンゴムなどの高分子材料は、水素結合や分子間力により、表面同士が自着する特性があります。
そのためフィルム基材の片面へ塗布しロール状に巻き取ると、条件によってはブロッキングが発生してしまうことがあります。紙でブロッキングを妨げた要因として、フィルムに比べて粗い表面性状を有し、その凹凸形状によってコーティング層との接地面積が大幅に減ったためと推察しました。
当社は、フィルム表面にマット層を形成する技術を有しています。この技術で「くっつかない」ことを実現できると考え、高分子材料をコーティングする基材の反対面にコーティングマット加工を施す提案をしました。
早速サンプルを作成し、お客様でラボ評価を行っていただいたところ、見事にブロッキングが解消!採用を検討したいというお返事をいただきました。
これまでお客様自身で基材調達から製造委託まで行ってこられましたが、当社のコーティングマットフィルムに置き換えることで合紙挿入のプロセス削減だけなく、当社が基材調達からコーティングマット形成まで一貫して手掛け、お客様へ販売するというシンプルなプロセスへの転換にも繋がりました。
最適工法でトータルコスト削減にも貢献
当社からの提案当初、お客様は設計変更に伴うコストアップを心配されていましたが、本提案はトータルコストの削減にも大きく貢献しました。合紙を挿入して巻き取った場合、次工程でロールを繰り出した直後に合紙を除去することが必要です。しかし、お客様の次工程の生産機は、合紙を除去して巻き取る付帯装置が設置されておらず、設備投資も検討されている状況でした。
当社の提案により、製造過程で使用して廃棄するという合紙代のランニングコストの削減だけでなく、設備投資に伴う イニシャルコストの削減にも貢献できたと、後日大変嬉しいフィードバックをいただくことができました。
