高温プレスに耐えうる離型フィルムを求めて
FPC(フレキシブルプリント基板)は製造工程中に絶縁層と基板を接着する熱プレス工程があり、プレスの金型と製品の間には複数のフィルムが利用されることがあります。具体的には、クッション性フィルムや離型フィルムです。クッション性フィルムは基板に書かれた回路による凹凸を吸収し追従させる役割、離型フィルムは金型と製品の接着を防止する役割を担っています。また、クッション性を有する離型フィルムも使用されており、上記の役割を単体で両立するものもあります。近年、高速LSIや5G通信機器などにおいては、高速・大容量伝送が求められ、低誘電絶縁層の需要が高まっています。そのため、エポキシ系の樹脂からPTFEやLCP(液晶ポリマー)などの高融点樹脂へ切り替えが始まっています。基板製造に使用する材料の変更は、その工程を支える部材にも大きく影響を与え、より高追従、高耐熱なフィルムが求められるようになりました。
クッション性と耐熱性を両立させる設計
高融点樹脂への切り替えにより、従来の工程フィルムが使用できない製品に対して提案するべく、当社は設計検討を開始しました。従来の工程フィルムにある課題は、「基材とクッション層の耐熱性」「高温を経ても機能する離型性」と明確です。まずは高耐熱性クッション層の開発に取りかかりました。

従来のクッション層には、ポリエチレンに代表されるオレフィン系の熱可塑性樹脂が多く採用されていました。熱可塑性は材料の有する融点を超えた温度域では流動性が発現してしまい、金型を汚染する懸念があります。オレフィン系よりも耐熱性の高いフッ素系樹脂も使用されていますが、熱可塑性であることには変わりありません。 そこで当社は、架橋により樹脂の分子運動を抑制することで課題の解決を目指し、熱硬化性エラストマーを選定することにより、耐熱性と柔軟性を両立したクッション層の開発に成功しました。次に、基材の耐熱性について検討しました。LCPなどの加工温度が300℃前後に達することから、融点が300℃以上の樹脂フィルムを探していたところ、スーパーエンジニアリングプラスチックであるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)に出会いました。PEEKは330℃を超える融点を有しており、一部薄膜フィルムでも展開されている樹脂材料です。さらにPEEKはその分子構造と結晶構造から、FPC基板製造に使用される樹脂への離型性を有していることがわかり、まさに求めていた素材でした。
高耐熱クッション性離型フィルム「PEEKushion™」
高温でも流動性が発現しないクッション層と高耐熱性かつ離型性を有するPEEKを組み合わせることで、当社はPEEKushion™を開発しました。

当社のコア技術であるコーティングとラミネートを応用し、2種3層のシンプルな構成ながら、耐熱性、クッション性、離型性を兼ね備えた高機能フィルム製品となっております。PEEKushion™の魅力はその性能だけではなく、カスタマイズ可能な点にあります。クッション層やPEEK基材の厚みが変更可能であり、柔軟性と剛性のバランスに関して、ご使用に応じたカスタムオーダー品をご提供させていただきます。また、PEEKushion™はフッ素系化合物を使用しておらず、工程部材のPFASフリーを実現いたします。当社の公式ホームページにも専用ページがありますので、ぜひお問い合わせください。
