開発のスピードアップを目指して~パイロットコーターの導入~

2日で100枚の手塗り作業が開発のボトルネックに

 ハンドコート機能性フィルムの開発において、避けて通れないのがサンプル作製です。お客様への求評や、社内での検証のため、当社でも手作業によるハンドコートを日常的に行います。しかし、ご評価いただく試験項目が多岐にわたるケースや、膨大なn数を検証する場合もあり、時には2日間で100枚のサンプルを作製したこともありました。また、手塗り作業ゆえ、多少の品質ムラは、避けることができないという点も、ハンドコートならではの課題といえます。
 これらの開発初期特有の課題を解消し、お客様のご要望に広く対応するため、パイロットコーターを導入し、極少量の原料で、量産機に近い条件検討を柔軟に行える体制を整えました。導入されたパイロットコーターは、ラボスケールでありながら生産機に近い塗工方式を備えており、ある程度の数量のサンプルを、安定した品質で一度に作製できるほか、実機試作を見据えた課題の抽出も可能にしました。また、構造がシンプルで操作性に優れている点は、若手技術者がコーティングの基礎原理を習得するための教育材料としても活用しています。

少量の原料で柔軟な試作ができる体制の構築

 テストコーター装置の導入効果は数値としても明確に現れました。最大の成果は、サンプル作製に必要な材料を生産機での試作と比較して約20分の1まで削減できたことです。これにより、高価な材料を用いる開発や予算の限られた案件においても、低コストかつ短納期でのサンプル提案が可能になりました。
 実務面では、以前は一枚ずつ手塗りが必要であったため多くの時間を要していましたが、数十枚規模のサンプルもロールtoロールで一気に作製することができるため、劇的に作業の効率化が進みました。実機品に近い高品質のサンプルを、早く、安く、確実にご提供できる体制により、お客様からも好評価を得ており、 受注機会の拡大にも寄与しました。

パイロットコーターが繋ぐ「ラボ段階」から「実機試作」への橋渡し

 機能性フィルムパイロットコーターは、生産機へのスムーズな橋渡しのための条件出しにも役立ちます。例えば、生産機の乾燥温度を再現し、塗工量と残留溶剤分の相関検証を事前に行うことで、生産機での試作水準を削減し、作業時間の短縮に繋げています。さらに、追加導入したインラインコロナ処理装置による密着性向上実験など、お客様のご要望に応じることのできる幅はさらに広がりました。
 受託加工・受託開発事業のさらなる強化と、自社ブランド製品の拡充を目指し、社員一同、目標達成に向けて日々奮闘しています。市場やお客様のご要望やお困りごとに対して、コンバーターとしての技術を最大限に活用しながら、製品開発を積極的に取り組んでいます。
 昨今では、環境負荷低減に貢献するPFASフリー対応のプリント配線板用クッション性離型フィルム「PEEKushion™」や、PPモノマテリアル化に対応した開封テープ「テアロープン®ecoMPP」をはじめ、新たな高付加価値製品の創出にも注力し、お客様に必要とされる革新的な製品を提供することで、社会に貢献してまいります。