加工原反の準備を単純作業で標準化

きっかけは作業の標準化を目指す社内の声

製造業における作業の標準化は、抜け・漏れ・失敗などヒューマンエラーの防止や、作業時間短縮による生産性向上を実現します。当社もコンバーターとして、様々な作業の標準化に日々取り組んでいます。その活動のひとつとして生まれた製品が「スプライスアシストシール®」です。

近年のRoll to Roll加工設備では、加工を停止させることなくフィルムや紙などの原反を連続的に送り出すことのできる、二軸ターレット式スプライス装置の搭載が浸透しています。この装置では、使用中の原反が残りわずかになると、もう一軸に準備された原反が、スプライスに備えて予備回転(空転)します。その際、原反の始端部が、重力や風圧により巻きほどけるため、粘着テープなどを貼り付け、仮留めする必要があります。一方で、スプライス時には原反の始端部が開き、使用中の原反にスムーズに接続、繰出される機能も忘れてはなりません。これらの課題に対して、作業者による処置のバラツキを抑え、スプライスの成功率を上げることができる方法を確立する必要がありました。

スプライスアシストシール®1

スプライスアシストシール® BAD スプライスアシストシール® GOOD

加工技術を駆使し、スプライス時に必要な機能を具体化

スプライスアシストシール®3当社の技術を複合的に駆使し、原反の予備回転時に巻きほどけを防止できる適度な粘着力と、始端部を保持するために必要なサイズのシールを設計しました。さらに、スプライス時にはスムーズに切断、分離できる構造を実現することで、巻きほどけの防止と正確なスプライスの両立を実現しました。

このアイテムは、元々社内の課題解決に向けて考案されたものでした。しかし、当社がコンバーターを対象にした調査の結果、同じような課題を抱えるコンバーターが数多くおられるということが判明しました。具体的には、市販の粘着テープ等を活用した独自の方法で対応しているお客様が多く、作業のバラツキや準備時間、スプライスの成功率、コンタミネーションなど潜在的な課題が垣間見えました。中には、巻きほどけ防止策をなんとか標準化したいという具体的なご要望もあり、その声にお応えすべく「スプライスアシストシール®」をリリースしました。

Roll to Rollのスプライス準備作業標準化には「スプライスアシストシール®」

このように、当社は製造業という特性を活かし、製造工程における様々な課題に着目した製品開発もおこなっています。その中で生まれた「スプライスアシストシール®」は原反の始端部に貼るというシンプルな作業で、スプライス時の巻きほどけ防止と、スムーズで確実なスプライシングを実現できます。高いスプライス成功率は停止時間の削減、加工ロスの低減に貢献できるため、お客様の準備作業の標準化や、生産性能向上に役立つ製品として浸透しつつあります。